書籍のご紹介・介護記録の学校(改訂版)

介護記録の学校(改訂版)

護記録&施設ケアプラン表現文例集

護記録&施設ケアプラン表現文例集

日総研出版社より発行

改訂版第1刷:平成19年11月30日発行

【主な内容】

本書では,何が必要な記録で,必要でない記録とはどのようなものかを4つのポイントを挙げて事例を基に具体的に解説しました。

 

はじめに

振り返ると記録開示してから今年で8年になり、思い出が走馬灯のように蘇ってきます。
よい記録を書くスタッフが大勢いました。共通していたことは、非常にリアルに情景が目の前に浮かぶ具体性のある記録だったことです。しかも、文字は丁寧で筆圧があり、適切に漢字を使い文脈がしっかりしていました。優しい介護の様子が伝わってきて感動したことを覚えています。「言葉は、あなたのもうひとつの顔」(外山滋比古氏)だそうです。介護記録を振り返り、全く、そのとおりだと実感いたします。

記録は、遺ります。「残る」ではなく「遺る」と記したのは、重大な理由があるからです。介護記録は開示すれば金の値打ち、世界に一つしかない宝に変身します。方法は、介護記録の1〜2ページをコピーして利用者の家族へ差し上げるだけでいいのです。そうすると不思議な現象が起きます。紙に書いた文字(本人の話した言葉)なのに、家族にとっては、聴き慣れた懐かしい言葉ですから「ああ、いつも言っていたなあ」と再現力があり、それが音声を奏でるようで高い満足が得られます。将来、利用者が没後しても、この記録は末代まで遺ります。その記録を見て、家族が「家宝にしておきたい。」と言われるなら、これほどの賛辞はないでしょう。

「介護記録は、日記ではない」という意見も世間にはあるようですが、日記でいけないという理由はなんでしょう? 私の経験では、事実だけを書いた記録や実施報告、書かねばならないと思って書いている記録は、どこか味気なく見えました。職員だけで共有する場合は、利用者の問題・課題に焦点を当てた内容が多いと感じました。

利用者が書いてほしいと思う記録内容は何だろうかと考え、利用者の想いを代筆する気持ちになると、介護のやり方が変わります。また、家族へ送りたいなあと思うような記録は、利用者の明るい表情や言葉をよくとらえています。開示の実践は、記録そのものが離れて暮らす家族をケアし、利用者と家族の距離を近づけていきます。そして、来所された家族からの感謝の言葉が、今後は介護職員をケアしてくれます。このように施設との信頼関係にもよい影響を与えます。

今回は、施設サービス計画書の書き方についてお伝えしたく施設ケアプラン編に掲載しました。計画書の書き方においても同じく、「言葉はもう一つの自分の顔」を考えていただければと思います。しっかり利用者と対面し、何を、どう伝えていいのか分からない状況を理解した上で、深く掘り下げて利用者のニーズをしっかり拾いましょう! 質問力を鍛えて真意を聞き取ってほしいのです。そして、その人らしさを施設サービス計画書(2)に描写していきましょう。完璧に書くことを求めていません。利用者の気持ちを探ろうとしてほしいだけなのです。その点をお酌み取りいただければ幸いです。

著者  津田祐子

目次

【介護記録編】

  • 夜間巡視 ・トイレ介助 ・面会
  • 水分補給 ・集団レクリエーション
  • 暴力 ・尿失禁 ・帰宅願望のある人
  • お誕生日会 ・部屋移動 ・血圧測定
  • 食事摂取量 ・作業療法 ・服薬
  • おむつ交換 ・便秘 ・転倒
  • 利用者間トラブル ・身体拘束
  • 睡眠 ・食事摂取 ・危険な行動
  • お見舞金 ・徘徊 ・外出
  • 利用者の怒鳴った言葉 ほか

【施設ケアプラン編】

  • 娘のところで暮らしたい人
  • 脳梗塞の再発を防ぎたい人
  • 一人で歩けるようになりたい人
  • 安定した室内歩行
  • 安全な食事の摂取
  • 一部介助での入浴
  • 一人での屋内歩行 ほか

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